マテーラで1番大きな薪の窯(6mx5m)があるパン屋さん(Pane e Pace)で、マテーラのパンを作っている様子を見学させてもらいました。
火が入っていない時に、中を覗かせてもらったのですが、本当に広かったです。パン屋の皆さんが、「住める」と言ってました ^^;
パン屋さんは夜中にパンを焼きます。
窯に火が入るのは23時半から~0時頃。小1時間かけてかまどを暖めます。
壁が白くなったらもう充分暖まったという意味だそうです。
燃料の薪はオリーブの枝です。燃やすといい匂いがしていました。一番上の写真は、窯を温めるために、オリーブの枝を燃やしているところです。
大体午前1時過ぎ、4時半、8時と3回パンを焼きます。そのたび窯に火が入ります。
マテーラのパンの生地を作ります。この機械に粉、イースト、塩、水を入れてこねます。
音がうるさいので、近所迷惑にならないのかと思いましたが、階上に住居はないので平気だそうです。
マテーラのパンの生地を台にのせ、重さを量り丸く成形して行きます。デュラム小麦の色は黄色っぽいです。
1kgのマテーラのパンを焼くには1.2kg、500gのパンには650gの生地を使います。
ひとりは重さを量って生地を切り分けます。
もうひとりはその生地を丸く成形して箱の中に並べて行きます。
00:40 マテーラのパンの準備終了です。
30分程寝かします。寝かしている間に別の種類のパンの準備をします。
これらの細長い箱に入っているのは全てこれから焼かれるマテーラのパンです。
窯はまだ暖め続けられています。
発酵して大きくなりました。
1:10 窯の準備が整いました。窯の中の灰もきれいに掃除機で吸い取られ、残っている火は左の隅に寄せられました。
1:15 マテーラのパンが窯に入り始めます。
窯が大きいので、パンを窯に入れるための道具(assi di legno)の柄の長さもとても長いです。
マテーラのパンは窯に入れる時に成形します。成形しながらひとつずつ窯の中に入れて行きます。
パーネアルトという、高さのあるのが先に入れられます。これはパンの中に大きな空洞ができます。
上に切り目の入るのがマテーラ型で、切り目の入らないのがアルタムーラ型と言います。
この二人の職人の方は片やアルタムーラ、片やマテーラと、おいしいパンの産地の出身です。
仕事中、お互いがお互いの方言で話しをするそうですが、それで意味は通じるのかと尋ねると、「それぞれ相手の方言を話すことはできないが、理解はできるので問題なし」という答えでした。
ちなみにマテーラの方言は、イタリア語とさっぱり違うように聞こえます。文字で書くと、例えば料理の名前で”gnocchi di farinaccio”が、マテーラ弁では”gnitt’l d’ s’m’laùn”となります。
パンを全て窯に入れるのには1時間弱かかるので、先に入るか後に入るかでは焼き加減が違って来ますが、パンの焼け具合にもお客のさんの好みがあるので別に構わないそうです。
この写真からはわかりにくいと思いますが、奥のパンは既に色づき始めています。
窯の中にどんどんパンが並べられて行きます。
左にはまだ火が残っているのが見えます。
これはコルネットと呼ばれる型です。
コルネットというのはパンの名前で、日本では「クロワッサン」でおなじみですが、その形に似ているのでそう呼ばれるそうです。中に空洞はあまりできません。
ほぼ作業が終わった後、少し間を置いて最後に窯に入ったのがパーネバッソと言う厚みの薄いパンで、2時10分に全て終了。窯の扉も閉められました。