エキストラバージンオリーブオイルとは?
エキストラバージンオリーブオイルは、「バージンオリーブオイル」の中でも、オリーブオイルの成分の化学的な分析と、鑑定士による味、におい、色に関する検査(官能検査)により、一つも欠陥がないと認められた高品質な「バージンオリーブオイル」のことです。国際オリーブ協会(IOC)*やEUなどが定めた基準を満たしたものを指します。
*IOCは1959年に国際連合によって設立された政府間機関で、現在オリーブとオリーブオイルを生産する42カ国が加盟している。アメリカ、オーストラリア、ブラジル、ロシア、日本などは非加盟。
オリーブオイルの違いと等級について
オリーブオイルとひとことで言っても、実は様々に分類されます。
その中の最高品質とされるのがエキストラバージンオリーブオイルです。
その他のオリーブオイルとの違いや、等級に関して、上記国際オリーブ協会(IOC)の分類では以下のようになります。
オリーブオイルには、オリーブの果実からとった油と、油をとった後の搾りかすからとった(溶剤抽出)油の2種類があります。 前者をオリーブオイル、後者をオリーブポマースオイルといいます。
それらのオリーブオイルは精製をするかしないかという製法により「バージンオリーブオイル」と「精製オリーブオイル」の二つに分かれます。
「バージンオリーブオイル」とは?
オリーブの実を搾ってできた油をバージンオリーブオイルといい、以下のように定義されます:
「バージンオリーブオイル」はオリーブの果実から機械的または他の物理的な方法(伝統的圧搾法、遠心分離機による連続法など)のみで得られたものです。
特にオイル自体を変質させる原因にならない温度条件下でそれらの行程が行われ、洗浄、デカンテーション(沈殿させることで液体の濁りをとること)、遠心分離、ろ過以外の処理をされず、また溶剤によってもしくは再エステル化の工程で作られたオイル、他の種類のオイルと混ぜたものは含まれません。
「バージンオリーブオイル」は、オリーブオイルの成分の化学的な分析と、鑑定士(テイスティングパネル)による味、におい、色などに関する検査(官能評価試験)の、これら2つの方法により、以下のように分類されます。
呼称 | 酸度 (遊離脂肪酸値*) | 過酸化物価 | 備考 |
エキストラバージンオリーブオイル | 0.8%以下 | 20meq(mg当量)/kg以下 | 官能評価試験により、完全な食味(オリーブの果実風味を有し、味や風味の欠陥が1つもないこと)を持っているとされたもの |
バージンオリーブオイル | 2.0%以下 | 20meq/kg以下 | 官能評価試験により、若干の風味が損なわれているとされたもの |
オーディナリーバージンオリーブオイル | 3.3%以下 | 20meq/kg以下 | 官能評価試験により、複数の欠点があったとされるもの |
ランパンテバージンオリーブオイル | 3.3%超 | 制限なし | 官能評価試験により、多くの欠点が認められたもの。 そのまま食べるには適さない。 精製するか工業用に使われる |
(バージンオリーブオイルの分類)
*オリーブオイルに含まれる遊離オレイン酸の重量割合(出典元:エキストラバージンの嘘と真実|日経BP社)
「精製オリーブオイル」とは?
バージン・オリーブオイルを化学的に精製(脱酸・脱臭・脱色等)したものです。精製すると無味無臭で無色透明になります。
精製オイルにランパンテ(それ自身では食用には適さない)を除いたバージン・オリーブオイルを加えて風味付けをしたものが食用として小売りされます。
呼称 | 酸度 (遊離脂肪酸値) | 過酸化物価 | 備考 |
精製オリーブオイル | 0.3%を超えない | 5meq(mg当量)/kg以下 | ランパンテバージンオリーブオイルを精製したもの |
オリーブオイル(ピュアオリーブオイル) | 1%を超えない | 15meq/kg以下 | 精製オリーブオイルに、バージンオリーブオイル(ランパンテバージンオリーブオイルを除く)をブレンドしたもの |
(精製オリーブオイルの分類)
オリーブポマースオイルとは?
油を搾った後のオリーブの搾りかす(英語では「ポマース」イタリア語では「サンサ」)からヘキサンなどの工業用溶剤で抽出された、または圧搾法など物理的な方法で作られたオイルを未精製のオリーブポマースオイルと言い、工業用、化粧品や石けんなどに使われますが、精製されて食用にもなります。
呼称 | 酸度 (遊離脂肪酸値*) | 過酸化物価 | 備考 |
精製オリーブポマースオイル | 0.3%を超えない | 5meq/kg以下 | 未精製のオリーブポマースオイルを精製したもの |
オリーブポマースオイル | 1%を超えない | 15meq/kg以下 | 精製オリーブポマースオイルとバージンオリーブオイル(ランパンテを除く)をブレンドしたもの |
(オリーブポマースオイルの分類)
日本国内で販売出来るオリーブオイルについて
日本は国際オリーブ協会(IOC)に加盟していませんので、IOCの規格を準拠する必要はありません。日本では、JAS規格により精製されていない食用オリーブオイルの酸価*は2.0(=酸度1.006)以下、精製された食用オリーブオイルの酸価は0.6以下と定められています。(*酸価×0.503=酸度)
日本のエキストラバージンオリーブオイルという名称の現実…
日本では上記で説明した国内販売可能なオリーブオイルに該当するオリーブオイルであれば、精製オリーブオイル群に属する「(ピュア)オリーブオイル」であっても、ラベル表示を「エキストラバージンオリーブオイル」として販売が可能なのです。。。 残念ながら、現在日本ではその表示に対する罰則など定められておらず、消費者にとっては本物のエキストラバージンオリーブオイルを判別する事は容易ではないのが現実です。