マテーラでは大昔からとても質の高いデュラム小麦(硬質小麦)が作られてきました。
マテーラの名物、マテーラのパン(パーネ・ディ・マテーラ)は、地元産のデュラムセモリナ(デュラム小麦の粗挽き粉)をさらに細かく挽いた粉で作られた、とても長い伝統を持ったパンで、今日でもマテーラの人々の食卓には欠かせないものです。
昼食と夕食の時は必ずテーブルに登場し、知り合いのお宅では、大人の3人家族ですが、1日1kgのマテーラのパンを食べるそうです。おかずよりパンの方が好きだと、その人は言います。
外にピザを食べに行っても、このパンを注文して、ピザにかける唐辛子のいっぱい入った辛いオリーブオイルをつけて、ピザとは別に食べる友だちもいます。
マテーラのパンはデュラム小麦と塩と酵母と水だけでできています。
デュラム小麦は通常パスタを作るために使われます。それは、この小麦がよく伸びるがあまり膨らまない性質を持っているからです。パン作りには適さず、この小麦でパンを作るのは難しいそうです。今も大昔から伝わる独自の方法でこのパーネ ディ マテーラは作られています。
昔は薪窯、今はガス窯でパンは焼かれているのかと思っていましたが、まだマテーラでは薪の窯も健在です。
現在マテーラで薪の窯でパンを焼いているパン屋は4軒あります。
薪の窯とガス窯での焼き上がりには少し違いがあるそうですが、どちらが良いかは個々の好みによります。
しかし大きな違いもあります。5kgや10kgのとても大きなパンを焼くには薪の窯でないとできません。行事に使うのに、そういう大きなパンの注文があるそうです。
昔、マテーラにパン屋がまだなかった頃、パンは各家庭で作っていました。焼くのは村にいくつもあった共同の薪窯です。
マテーラの人々は、家で作ったパン生地を共同の薪窯へ持って行って、1週間分のパンを焼いていました。
大きな窯で一度にたくさん焼くので、どのパンがどの家のものかわからなくなってしまうので、当時は目印のためにパンに印を押していました。
名字の頭文字等を木に彫った印を、各家庭が持っていたそうです。
共同の薪窯には、パンを焼く仕事をしている人がいました。人々が持って来たパン生地を少しずつ失敬して焼いたパンを売ったのが、マテーラのパン屋の始まりだったというような話を聞いたことがあります。
マテーラに行かれたら、ぜひ召し上がってみてください!味わい深くて、おいしいですよ!!