2016年はイタリアのオリーブオイルにとっては呪われた年だったそうです。
2014年に続いてオリーブが不作で、収穫は、豊作だった2015年に比べると半減しました。
豊作だった年の翌年はほとんどいつも実りが少ない*ので、ある程度の不作は予想されていましたが、その予想を大幅に上回ってしまいました。
原因は天候とオリーブミバエでした。
*オリーブは隔年結果/結実(参考:ルーラル電子辞書、コトバンク)の性質があります。
○二つの要因
2016年は、暑さと、普段は雨のないときに雨が降るということが代わる代わる起きるという天候で、それがオリーブの生育に大きく作用しました。
そして、再びオリーブミバエが収穫に大きな被害を与えました。湿気が高く、雨が多く、暑すぎることのない夏、特に夜間、は繁殖に理想的な条件を引き起こしました。
オリーブ農家によっては、2年前の経験から、オリーブミバエに対抗することを習得し、正しい時期に正しい方法でケアをして、作物を部分的に救い被害を抑制することに成功しました。
しかし、年間を通しての天候不順には対抗できませんでした。尋常ではない暑さと寒さが交互に起き、普段は雨が降らない時期に雨が多かったり、開花直後に急に気温が下がって寒くなったりしたことが悪い影響を及ぼしました。
南イタリアの大部分の州ではイガ、メイガも多く発生しました。夏の湿気、特に夜間の湿度の高さがこの虫の繁殖条件をつくり出しました。
オリーブの一般的な品質は2014年の不作の時より良いですが、心配なのは、この不作の2年(2014年と2016年)の間隔が短かったことです。通常はもっと期間が空いて(平均して15年に一度)起きるのに、今回は前回より2年しか経っていません。
○州ごとの状況
州のレベルでは、プーリアは生産が半減しました。カラーブリアは一番被害が大きい州でした。特にレッジョでは9月にハエが大量に発生しました。カンパーニアとアブルッツォではいくつかの場所ではほぼ全滅でした。バジリカータとモリーゼも同じような状況です。
ピエモンテ、ロンバルディア、トレンティーノアルトアディージェ、ヴェーネトは、収穫が減少しなかった唯一の州です。それらの州ではオリーブ畑はそれほど広がっていないので、オリーブミバエを管理するのがより容易いということがありました。
なお、2014年の時と違い、スペインでは不作にはなりませんでした。
○マテーラでは
さて、マテーラの状況ですが、最も大きなオリーブ畑を持つマイアーティカ農園では、驚くことに全滅!だったそうで、マテーラの友人たちの間でも大きな話題になっていたようです。
バラッケ農場にも恐る恐る尋ねてみたら、同じく収穫なしでした。
マテーラではありませんが、ディベンガ農園も大きな打撃を受けたそうです。
それらのニュースに慌ててマテーラの友人にオリーブオイルの出来を聞いたところ、マテーラで最も信頼の高いオリーブオイルの搾油所でありメーカーでもある「ラチェルトーザ」のオリーブオイルは美味しかったというので、ラチェルトーザのリタさんと話しをしていたのですが、イタリアのクリスマス休暇が終わる頃、異常気象はまだ続いていたのか、マテーラは大雪に見舞われてしまいました(参考記事)。
マテーラ生まれのマテーラ育ちの友人(50歳前後)が、「マテーラにこんなに雪が降るのは今までなかったと思う」、という大雪がしばらく続き、やっと雪が止んだと思えば今度は低温が続き、ラチェルトーザの搾油所の貯蔵庫の気温も下がってしまい、オリーブオイルがだんだん凝固していき、タンクから小分けするのが難しくなって、リタさんから届く知らせは「こんなこと今まで起こったことがない!」という悲鳴ばかりになってしまいました。
そんな大変な状況がやっと改善されてきたのは2月も中旬になってからで、ようやくラチェルトーザのオリーブオイルが届きます^^
入荷しましたらまたお知らせいたします。どうぞよろしくお願いしますm(__)m