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オリーブオイルの伝統的圧搾法による搾油

17世紀のオリーブの石臼

オイルを搾る方法には、昔ながらの製法でオリーブオイルを搾油する伝統的圧搾法と、オリーブの実の粉砕から油の分離まで連続で行う、現代的遠心分離機による連続法の2種類の方法があります。

ここでは昔ながらのオリーブオイルの搾油方法である伝統的圧搾法でのオリーブオイルの搾油までの流れをご紹介します。

伝統的圧搾法によるオリーブオイルの作りの流れ

オリーブの実は枝から離れるとすぐに酸化がはじまりますが、オイルにするとあまり酸化は進まなくなるので、収穫から48時間以内に搾油することが望ましいとされています。理想的には24時間以内です。 ※収穫の様子については、こちらのページをご覧ください♪

 
オリーブの実を洗浄

1.オリーブの実を洗浄

収穫されたオリーブは、葉っぱや枝を取り除いてから、洗浄されます。

 
オリーブの実を砕きつぶす石臼

2.オリーブの実を砕きペースト状にする

花崗岩の石臼を車輪のように回転させオリーブの実を 砕きつぶしてペースト状にします(種子も一緒に)。

 
フィスコーリにオリーブペースト広げ重ねる

3.フィスコーリにオリーブのペーストを広げる

フィスコーリと呼ばれる合成繊維でできた円形のマットに、 1枚当たり5~6kgのオリーブペーストをひろげて置き(厚さ3cmくらい) それを何枚も積み重ねて、圧搾の準備をします。 (フィスコーリの大きさは直径80cm~1mくらいです。)

 
オリーブの圧搾機

4.圧力をかける

何枚も積み重ねたフィスコーリを圧搾機(プレス機)に セットし、下から垂直方向に圧力をかけてオリーブペーストを圧搾し、オリーブの果汁を搾ります。 マットにはオリーブペーストの搾りかすが残ります。

搾りたてのオリーブオイル

5.オリーブオイル(油分)と水分を分ける

圧搾をして得たオリーブの果汁は、すぐに遠心分離機にかけられ、「油分」 と「水分」とに分けられます。 この「油分」がオリーブオイル※です。 ※ここでは、まだオリーブの実の細かい果肉が含まれています。

オリーブオイルのろ過器

6.ろ過、またはデカンテーションする

遠心分離機で抽出したオリーブオイルに含まれる オリーブの細かい果肉を除くため、ろ過、または デカンテーションを行って、オリーブオイルの完成です!

 ろ過とデカンテーションについて

圧搾機をオリーブオイルは、オリーブの細かい果肉が含まれているので濁っています。 オリオノヴェッロ(新オイル。ワインのボージョレー・ヌーヴォーみたいなものです)は濁ったまま出荷されることが多いと思いますが、通常はろ過もしくはデカンテーションをして微細なオリーブの果肉を取り除きます。

【ろ過の方法とは?】

ろ過には、機械で圧力をかけて行う方法と、ドリップコーヒーのように自然にフィルターを通ってろ過される方法とがあります。

【デカンテーションの方法とは?】

デカンテーションは、搾り立てのオリーブオイルをタンクの中に入れて静置し、ある程度時間をかけて(1〜2ヶ月)微細なオリーブの実を沈ませ、オリーブオイルの濁りを取る方法です。

伝統的搾油法における、搾油の現実について

バジリカータ州にあるオリーブの搾油所の多くでは、現在、遠心分離機による連続法で搾油が行なわれています。

伝統的圧搾法を、今もなお採用している所もわずかにはありますが、田舎の小規模な手工業的な搾油所でがほとんどだそうです。

手間も人件費も多くかかるので仕方のないことです。

どちらが良いかは意見の分かれる所ですが、伝統的圧搾法に今もこだわる農家もあります。

有機のオリーブオイルと認証されているものは、有機の搾油所として認証を受けたところで搾油されたものでなければいけません。認証を受けている搾油所では、有機でないオリーブと有機のオリーブは分けて作業が行われます。機械を洗浄したり、色々手間がかかりますので、有機の方は搾油の料金も高くなります。

ただでさえ手間が多く、現代的な遠心分離機による方法とは比べものにならないほど人手の多くかかる伝統的圧搾法では、有機とそうでないオリーブを分けて搾るのは難しく有機の認証を得た搾油所を作るのは困難なのです。

搾油料金も高くなるので、需要があるかどうかもわかりません。

ある遠心分離機による現代的方法を採用する有機認証の搾油所の所有者は、「有機の認証を受けた伝統的圧搾法の搾油など不可能だ」と言っていました。

従って、伝統的圧搾法によるオイルを好むオリーブ農家やそのようなオイルを好む顧客を持った農家は、たとえ有機農家であっても、有機でない伝統的圧搾法でオイルを作らなくてはいけません。

その場合、オリーブの実は有機の認証を受けていても、出荷するオリーブオイルは有機認証のオリーブオイルではなくなってしまいます。伝統的圧搾法による搾油をされる農家が少なくなるのは、そういう搾油所の背景もあるのです。

 伝統的圧搾法によるオリーブオイル生産農家 ディベンガ農園

ディベンガさん一家は、この伝統的搾油法でオリーブオイルを作っています。

家族で切り盛りする小さなオリーブ農家ですが、オーガニックで良質のオリーブオイル作りにこだわるあまり、自家用の搾油所を作ってしまった、少し珍しい農家です。。。♪ ディベンガ農園の詳細はコチラから⇒

ディベンガ夫妻

オリーブの搾油所の映像

【映像1】 モリトゥーラ

上記表の2の、花崗岩の石臼でオリーブの実をつぶしてペースト状にしているところです

伝統的圧搾法の様々な写真集

伝統的搾油法に関する、道具や様子などです。※クリックすると大きな画像が見られます。

17世紀の石臼
昔の圧搾機の跡
奥の2台がプレス式の圧搾機
圧搾をしているところです。泡のように見えるのが油です
搾りたてのオリーブオイル。あくがあるのは酸度が低いという意味
オリーブの搾りかす(サンサ)ドーナツ型のマットの形に広げられていたオリーブのペーストです。オリーブオイルの精製工場へ売られます

搾油所 ラチェルトーザって??