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オリーブの有機栽培について

オリーブの栽培

オリーブの有機栽培について、バジリカータ州の4つの地域の4つの有機オリーブ農家に、それぞれのオリーブ栽培に関するこだわりや、栽培方法について伺いました。

バジリカータの有機農家

ラチェルトーザ(マテーラ県フェッランディーナ)

ディベンガ(ポテンツァ県ラポッラ)

インダコ(ポテンツァ県ヴィエートリ)

マッシモ(マテーラ県ポマリコ)

オリーブをより美味しく栽培する為に

ディベンガ農園のオリーブは、すべて有機(オーガニック)農法で栽培を行っています。 灌漑(※1)は行わず、水は降雨のみで栽培するという、より自然の環境と同じように栽培を行う工夫がされていました。

オリーブの実の水分を肥料にする

オリーブを搾って作ったオリーブのジュースを油分と水分に分けて、その油分がオリーブオイルになります。残った水分を、ディベンガでは肥料としてオリーブ畑に撒きます(上の写真の車のわだちに見える水溜りがそうです)。

※1 灌漑(かんがい)とは農地に外部から人工的に水を供給することです。

オリーブ栽培にとって一番の敵は『オリーブミバエ』?

オリーブの一番の敵「オリーブミバエ」のメスはオリーブの中に卵を産みます。卵が孵ると幼虫が果肉を深く掘り、しまいにはオリーブの実は利用できなくなります。

この虫は、気温15-30℃で生息します。

湿度と温度の高いところにいますが生息環境の条件としては温度がより重要です。

オリーブミバエ
オリーブミバエ。背中に白い横線が目印です。

マテーラにあるラチェルトーザのオリーブ畑は標高約200mに位置します。 7月、8月は最高気温がいつも40℃くらいあるので、オリーブミバエの心配はありませんが、逆に標高の高いところにある別の畑(約600m)は、気温が低いので夏場は常に気をつけていないといけません。

海の近くの方が夏は気温が低いのでオリーブミバエが多く、海の近くで有機栽培をしているオリーブ農家の夏場の仕事は大変だそうです。

オリーブミバエの駆除の方法

まずは、ホルモン剤と強力糊の罠(写真)を木に結び付け、それでオリーブミバエを捕まえます。

2日に1度見回り、罠にかかるオリーブミバエの数が徐々に増えて行くようなら、他の方法を採用します。 他の方法とは、蚊取り線香の殺虫効果のある成分と油と水を混ぜて、噴霧器で撒布することです。

オリーブミバエの罠

虫は皮膚で呼吸をするので、体が油で覆われることで呼吸ができなくます(殺虫成分の方が、駆除の効果は低いということです)。

有機栽培では使用しませんが、化学農薬を1度使うと、30日間何もしなくてもいいそうです。しかしこのような有機の殺虫剤だと、効果は40時間程度しか続かないそうです。

ラチェルトーザのルイージさんによると、この15年で気候にとても大きな変化がありオリーブミバエが生息する時期も場所も変わったそうです。

昔は標高の高い場所にある畑(約600m)では、9月になると最低気温が5℃以下になったのでオリーブミバエの心配はしなくて良かったそうですが、今は9月も駆除は続けないといけません。

マテーラ地域の畑でも、11月中旬の収穫の時期も、最低気温が8℃~12℃と高いので、オリーブミバエに注意が必要だそうです。

オリーブ有機栽培における、その他の対策

左下の写真の幹に巻き付けられた白い綿のような繊維は虫取り用の罠です。

下から木を登って来て、葉のふちを食う虫の駆除用で、この白い繊維に足を取られて動けなくなり、乾きで死にます。

オリーブの有機栽培には、多く利用される方法でディベンガ農園でも多くのオリーブの木に巻かれています。

右下の写真の黄色い板には強力糊とホルモン剤の入った小さな容器が付いています。 殺虫剤の代わりにこのホルモン剤で虫を惹き付けて捕まえます。これは主に蝶々/蛾用だそうです。

オリーブの害虫駆除方法

生物多様性

ラウラ・インダコさんの農家があるのは、バジリカータ州とカンパーニア州(サレルノ県)の境にあるヴィエートリというというところです。

人口3千人ほどの小さなヴィエートリ村は標高400mの断崖の上にあります。

畑は上ったり下ったりが続く傾斜地にあります。

畑の中で山歩きをしているような気分になるのは、その傾斜のせいだけではなく、植わっている木が、オリーブばかりではないからです。

オリーブ畑

これは、少し遠くから見たラウラさんの畑ですが、「オリーブの木もある」、くらいのオリーブ畑です。

なぜ、全部オリーブにしないのかというのには理由があって、「生物多様性」を重要と考えるからだそうです。

そこに元々生えている木は手を付けずそのままにして、スペースの空いたところにはオリーブを植えて、オリーブの木を増やしていっています。

このオリーブ畑でも、水やりは雨のみです。

オリーブ畑の羊

話しをしていると、羊がどどどっとやって来て、草を食べ始めました。近所に住む親類の方が、ミニ放牧の最中ということでした。彼らも「生物多様性」のうちよ!と笑うラウラさんでした。

新しいやり方と古いやり方

バルブ

マッシモさんのオリーブ畑は灌漑の方法に少々特徴があります。 水の管を地中に埋めて、根に直接水を与えるというやり方です。イスラエルのやり方から学んだとのことです。

私は、オリーブ畑を今までいくつか回りましたが、このような方法を目にするのは初めてでした。

オリーブの栽培でも、効率を良くするために新しい技術の研究が行われています。

しかし、マッシモさんは、オリーブの木の植え方は、昔のやり方をより良いものと考え、長い間オリーブを栽培し、すでに現役を引退した地元の老人から教えを乞うたり、色々な形で学んだことを自分の畑で実践しています。

それらは、この土地で現在一般的に行なわれている方法とは異なります。そのため、地元の人から奇異な目で見られたり、土地の所有者である奥さんのお父さんからも常に文句を言い続けられたり、長い間苦労が多く、理解者を得られず、常に孤独だったそうです。 実際、マッシモさんが行なった方法で、最初の5年間は全く成果が出なかったらしいですが、その後は毎年豊かに実がなっています。  

オリーブの有機(オーガニック)栽培と簡単に言っても、品質の高いオリーブオイルを作るということは非常に様々な努力と苦労と手間が必要なのだと実感します。

搾油所 ラチェルトーザって??